英語ではアンティークですね。アンティックの一般的な定義としては、100年以上時代を経た美術品、工芸品を呼んでいます。100年前と言うと、1910年。日本で言ったら明治時代の終わりから大正時代の初めです。私の母は大正生まれでしたから、大正という時代はあまり遠い存在ではないのですが、若い皆様にとってははるか昭和を越えた昔、昔という時代感覚がおありでしょうね。昭和レトロという言葉が生まれたくらいですから。
私が店で扱っている品物は19世紀の初めから20世紀の中ほど位の時代の品物です。昔の定義からちょっとはずれて、50年程前の物からアンティックと呼ばせて頂いています。今や70年代、80年代の品も若い人たちはヴィンテェージと称して店の商品構成をしている所もありますね。19世紀のフランスはフランス革命が起こり、絶対制が崩壊し貴族の文化から産業革命で力をつけたブルジョワ階層の台頭により、より庶民に近い文化が華を咲かせます。余計なことですが、フランス革命が勃発した年は、1789年。中学の時、私のクラス担任は稲葉先生。世界史の先生が、「フランス革命の年号は『稲葉くん』と覚えなさい。一生忘れないから」とおしゃった。そろそろ人生の晩年にさしかかろうとしていますが、まだ覚えている。先生、ありがとうございました。
19世紀初頭、1800年代の初め頃から人々の生活の中に、生活を豊かに彩る物が求められ始めます。それまでの貴族や宗教界が独占をしていた装身具や生活用品などが裾野を広げ、フランス語で「ビブロ」と呼ばれる小装飾品のジャンルが盛んになります。今私が扱えるアンティックの品々はこの頃の物からです。ナポレオン一世の統治から王政復古、そしてナポレオン三世の時代、地方の産業も活発になり、産業博覧会もひらかれるようになります。日本でも幕末の薩摩藩が日本を代表して参加しましたよね。また余計な事を書きますが、明治元年、1868年の覚え方。これは私よりワンジェネレーション古い方からの話。やはり授業で歴史の先生が、「いやーロッパ君、明治だよ」と覚えなさいと。古川ロッパ、戦前の1930年代に多いに人気を博した今で言インテリお笑い芸人です。
現在フランスの蚤の市や骨董店で扱っている品々はこの年代で括られる物がほとんどです。100年位の古物は祖父母や曽祖父母の時代の物ですよね。ノスタルジックに何かエピソードがある物も有り、親しみも湧き、現代の生活の中に生かし、潤いを与えられる物だと思います。
色々なジャンルのアンティックを手にとって見てください。